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天狐あやかし秘譚
第88章 昼想夜夢(ちゅうそうやむ)
「きゃああっ!!!!」
最後の「。」を入力し、エンターキーを押した日暮は、すぐ後ろにあるベッドにダイブする。そのまま枕に顔を埋め、「きゃあ!」だの「ううう!」だの、奇声を上げながら、足をジタジタとばたつかせていた。
ここは、東京都某所にある日暮美澄の住む官舎の一室。彼女が書斎兼ベッドルームに使っている部屋だった。ベッドがあるサイドの壁にはところ狭しと『展示用』のアニメキャラのポスターが張られており、反対側の壁は大きな本棚が据えられ、マンガ、アニメの設定画集、ピンクや白の背表紙の文庫本などがぎっしりと詰まっていた。
机の上にはノートパソコンがある。今、彼女はこれで自身の新作小説である『月の都ルナリティ』の原稿を書いているところだった。
もちろん、日暮美澄の仕事は『宮内庁陰陽寮陰陽部門占部衆』の陰陽博士であり、しかも、『属の一位』というかなり高い位階を与えられている人物である。副業で小説家をやっているわけでもない。
これは、純粋な彼女の『趣味』なのだ。
小説を書いて、投稿サイトに掲載する。それが日暮美澄・・・通称ミスリンの隠れた趣味のひとつだったのである。
「ガジョー、やっぱりかっこいい・・・」
ポツリと呟いてから、また頬がぽっと赤くなり、そして顔を枕にグリグリと押し当てるように悶えていた。
この小説、設定している舞台こそ中世ヨーロッパ風のファンタジーだが、出てくる登場人物には自分自身を投影しまくりであった。
主人公であり、王国最強の魔術師であるミスリルには、自分自身を
そのミスリルに愛の告白をし、颯爽と助けに来た騎士ガジョーには『御九里牙城(みくりがじょう)』を
彼女の脳内にある映像では、それぞれの像がバッチリ当てられていた。
日暮の脳内で、物語はさらに展開していく。
『そう・・・ガジョーは安心して気を失ったミスリルを横抱きにすると、一足飛びに地底の国から脱出する・・・。そして、そのまま月影の下、森の中を疾走して、彼女を王宮まで連れ帰って・・・そして・・・』
最後の「。」を入力し、エンターキーを押した日暮は、すぐ後ろにあるベッドにダイブする。そのまま枕に顔を埋め、「きゃあ!」だの「ううう!」だの、奇声を上げながら、足をジタジタとばたつかせていた。
ここは、東京都某所にある日暮美澄の住む官舎の一室。彼女が書斎兼ベッドルームに使っている部屋だった。ベッドがあるサイドの壁にはところ狭しと『展示用』のアニメキャラのポスターが張られており、反対側の壁は大きな本棚が据えられ、マンガ、アニメの設定画集、ピンクや白の背表紙の文庫本などがぎっしりと詰まっていた。
机の上にはノートパソコンがある。今、彼女はこれで自身の新作小説である『月の都ルナリティ』の原稿を書いているところだった。
もちろん、日暮美澄の仕事は『宮内庁陰陽寮陰陽部門占部衆』の陰陽博士であり、しかも、『属の一位』というかなり高い位階を与えられている人物である。副業で小説家をやっているわけでもない。
これは、純粋な彼女の『趣味』なのだ。
小説を書いて、投稿サイトに掲載する。それが日暮美澄・・・通称ミスリンの隠れた趣味のひとつだったのである。
「ガジョー、やっぱりかっこいい・・・」
ポツリと呟いてから、また頬がぽっと赤くなり、そして顔を枕にグリグリと押し当てるように悶えていた。
この小説、設定している舞台こそ中世ヨーロッパ風のファンタジーだが、出てくる登場人物には自分自身を投影しまくりであった。
主人公であり、王国最強の魔術師であるミスリルには、自分自身を
そのミスリルに愛の告白をし、颯爽と助けに来た騎士ガジョーには『御九里牙城(みくりがじょう)』を
彼女の脳内にある映像では、それぞれの像がバッチリ当てられていた。
日暮の脳内で、物語はさらに展開していく。
『そう・・・ガジョーは安心して気を失ったミスリルを横抱きにすると、一足飛びに地底の国から脱出する・・・。そして、そのまま月影の下、森の中を疾走して、彼女を王宮まで連れ帰って・・・そして・・・』

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