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天狐あやかし秘譚
第87章 【第17話:鬼子母神】追奔逐北(ついほんちくほく)
左前が放り投げたのと同じ資料をめくっている御九里は、相変わらず黒尽くめのパンクファッション、耳にピアスの穴が3つも4つもあいており、ついでに言えば鼻ピアスまでつけた姿をしている。この格好を見て、『この人は陰陽師だ』と思う人など絶対にいないだろう。

ただ、こんなふざけた格好をしているにも関わらず、資料を読むその目は真剣そのものだった。

・・・これ・・・

御九里の目が、ひとつのケースファイルに釘付けになる。事件の概要は仙台にあるラブホテルの一室で、奥田という男性が惨殺死体となって発見された・・・というものだった。

レポートによると、遺体の損壊は激しいが、直接の死因は『喉を食いちぎられたことによる失血死』とのことだった。特異な点はそれだけではなかった。たとえば、心臓を始めとした臓腑が切り裂かれた腹から引きずり出されていたこと、現場に残された肉片を総合しても本来あるべき臓器分に達しなかったこと、などである。現場の状況から、犯人はラブホテルの一室で何らかの方法で男性を殺害し、その内蔵の一部を持ち去った・・・と警察は考えたようだった。

ぺらりと御九里がファイルをめくった。

第一発見者はラブホテルの従業員だった。殺害現場となった部屋は奥田が前日の夜半から使用していたものであり、その利用時間が終了となったのに一向に退室しなかったことから、彼は合鍵を用いて部屋に侵入した。そして、利用客たる被害者・奥田の変わり果てた姿を目の当たりにした、とのことだった。

警察が調べたところによると、防犯カメラには、その部屋に奥田と女が二人で入っていく姿が映っていたという。しかし、女については、後ろ姿しか映っておらず、それ以外にこの女を捉えた映像は発見できなかったということだった。
警察は、この女が事件に何らかの関係があると見て、重要参考人として指名手配しているということだった。

しかし、不思議なことがあった。この女、入った形跡はあるが、出た形跡が見当たらないのだ。つまり、部屋の中で消えたとしか思えないのである。

遺体の異常な損壊
持ち去られた内蔵
犯人の忽然とした消失

これらを総合し、『怪異絡み』と目されたことから、県警の呪殺班からの捜査協力依頼があった、というのだ。この事件に関しては、今後、東北地方局が捜査に乗り出すことになっているようだった。
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