この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
unbalance
第6章 睡魔
「そろそろ寝たらって」
寝たら? そう言ったの……?
「んー……寝ない……」
「お前疲れてんだよ。今週も残業多かったんだろ」
そうだった。
だから今日は珍しく早く帰って寝ようと思って、お仕事頑張ってたのに。
酷いよね、帰る直前にあんな仕事頼むなんて。
「なあ、もう寝ろよ」
相馬が私の手から空になった缶をそっと取り上げる。
ぎりぎり理性を繋いでくれていたそれを奪われて、私はその場に横たわった。
「あ、おい、霧野」
床に耳をつけて横たわると、人の足音がよく聞こえた。
私が倒れ込むのと入れ違いに相馬が立ち上がったらしい。
重い瞼を微かに開けると、テーブルの下から相馬の裸足が見えた。
私はまたすぐに目を閉じた。
「そこじゃなくて、ベッド上がって」
「んん……いい、ここで……」
「女、床で寝かせられっかよ」
へぇー……私のこと女なんて思ってない癖に。
「相馬のベッドだもん……」
「俺はいいよ、そのへんで寝るから」
それはだめだ。
残業を手伝わせて、家にあげてもらって、お風呂貸してもらって、そのうえ、そのへんで寝させるなんて。
そのへん? そのへんって、どのへん?

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


