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unbalance
第39章 カレー
私も、と咄嗟に言えなくて、私は目を泳がせた。
「また……月曜日に会えるでしょ」
「……ん」
相馬は子どもみたいに口をへの字に曲げて、
「悪い。じゃあ、その……またな」
「うん」
……行きたくない。
別れの挨拶をしたのに、偉そうなことを言ったのに、足を一歩動かせなくて、
「……霧野?」
相馬が不思議がっている。
「何でもない」
私は思いきって相馬に背を向けると、改札をくぐった。
これでもう戻れない。
肩越しに相馬を振り向くと、泣きそうな顔で私に片手をあげていた。
やめてよ、そんな顔。
帰りたくなくなっちゃうじゃない。

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