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unbalance
第33章 コンビニ
「コスモポリタンは奢り。私と川口さんと堀越さんの三人で割ったんだ」
「あ、え、堀越さんいました? 川口さんは見ましたけど」
この店の常連客の顔を思い浮かべながら聞くと、
「川口さんが呼んだ。相馬くんが面白いことになってるって」
……立派に見世物になってるな。
見世物になって人を集めるのも、正攻法ではないが、使える手だ。
俺もここぞというときには使う。
潔癖な霧野の前ではあまり言わないほうがいいかもしれないけれど。
「ありがたく、ごちそうになります」
俺は改めて伝票をマスターに戻す。
「うん、おめでとう」
おめでとう――おめでとう、か。
「ありがとうございます……で、いいんですよね」
「ん?」
マスターがこちらを振り返る。
俺は目を伏せる。
「あんま実感わかなくて」
「三年、だっけ? 片想いしてたの」
「三年です」
「粘ったなあ。相馬くんなら、速攻で口説きにいきそうに見えるのに」
「別に、オクテってつもりじゃないんすけどね」

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