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淫夢売ります
第50章 無邪気な淫魔:口づけ
☆☆☆
数日後、色々迷った挙げ句、私はメモにある番地を尋ねてみることにした。
そこはJR新宿駅から少し歩いた場所にあった。新宿の街の端、住宅街との境界あたりに位置すると言えばいいのだろうか。確かに『裏』新宿と呼ぶのにふさわしい場所だった。
木造りの比較的がっしりした扉に、同じく木製の小さな札がかかっている。そこには洒落た字体で『Oniromancie Morphée』とあった。どうやらここが、咲希の言う『夢占モルフェ』のようだった。
中に入ると、薄暗い店内の奥から女性の声がした。黒色の厚いカーテンをめくって奥を覗き込むと、小さい机の向こうに黒い絹のような髪を垂らした色白の女性が座っていた。
「いらっしゃいませ・・・当店のご利用は初めてでらっしゃいますね?」
ユメノと名乗った女主人に勧められるままに椅子に座る。女主人がじっと私のことを見つめた。その目はとても黒々としており、まるで黒炭か・・・そうでなければ墨を流したようなと表現される夜の海のようだった。
「あ・・・あの・・・」
私は恐る恐る、ここに来ることになった経緯・・・常盤咲希のことを話した。咲希の話をすると、ユメノは少し考えるような顔をして、『ああ!』と得心したような表情を浮かべた。
「なるほど、あなたが・・・」
「なにか、聞いていますか?」
私としては、何故、咲希があんなことをしたのか、どうしてこの店のことを私に教えたのか、それがずっと気になっていたのだ。ユメノという女主人にそれを聞くのがふさわしいのかどうか、それこそわからないが、聞かずにはいられなかった。
「ふふふ・・・常盤様のご紹介ですね。だとしたら、ご要件は・・・夢の購入ということでよろしいでしょうか?」
夢の購入・・・
馬鹿げていると一蹴した咲希の発言が事実だったことに、この時私はようやく思い至った。不思議なことに、この時の私は、『たしかにこの店なら夢を売っててもおかしくないかもしれない』と思い始めていた。それはこの店のミステリアスな雰囲気のせいだったかもしれないし、あまりにも底が知れないユメノの黒い瞳のせいだったのかもしれない。
数日後、色々迷った挙げ句、私はメモにある番地を尋ねてみることにした。
そこはJR新宿駅から少し歩いた場所にあった。新宿の街の端、住宅街との境界あたりに位置すると言えばいいのだろうか。確かに『裏』新宿と呼ぶのにふさわしい場所だった。
木造りの比較的がっしりした扉に、同じく木製の小さな札がかかっている。そこには洒落た字体で『Oniromancie Morphée』とあった。どうやらここが、咲希の言う『夢占モルフェ』のようだった。
中に入ると、薄暗い店内の奥から女性の声がした。黒色の厚いカーテンをめくって奥を覗き込むと、小さい机の向こうに黒い絹のような髪を垂らした色白の女性が座っていた。
「いらっしゃいませ・・・当店のご利用は初めてでらっしゃいますね?」
ユメノと名乗った女主人に勧められるままに椅子に座る。女主人がじっと私のことを見つめた。その目はとても黒々としており、まるで黒炭か・・・そうでなければ墨を流したようなと表現される夜の海のようだった。
「あ・・・あの・・・」
私は恐る恐る、ここに来ることになった経緯・・・常盤咲希のことを話した。咲希の話をすると、ユメノは少し考えるような顔をして、『ああ!』と得心したような表情を浮かべた。
「なるほど、あなたが・・・」
「なにか、聞いていますか?」
私としては、何故、咲希があんなことをしたのか、どうしてこの店のことを私に教えたのか、それがずっと気になっていたのだ。ユメノという女主人にそれを聞くのがふさわしいのかどうか、それこそわからないが、聞かずにはいられなかった。
「ふふふ・・・常盤様のご紹介ですね。だとしたら、ご要件は・・・夢の購入ということでよろしいでしょうか?」
夢の購入・・・
馬鹿げていると一蹴した咲希の発言が事実だったことに、この時私はようやく思い至った。不思議なことに、この時の私は、『たしかにこの店なら夢を売っててもおかしくないかもしれない』と思い始めていた。それはこの店のミステリアスな雰囲気のせいだったかもしれないし、あまりにも底が知れないユメノの黒い瞳のせいだったのかもしれない。

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