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淫夢売ります
第50章 無邪気な淫魔:口づけ
☆☆☆
相変わらず咲希の私に対する身体距離は近い。しかも、私が一人でいるところを狙って身体を近づけているのではないかという気すらした。

そのたびに、冗談めかして躱してはいるものの、触れた手の感触を、体温を、その匂いを身体は覚えてしまっているかのようで、咲希が近づいてきた日は、決まって家で一人、自慰に耽ってしまっていた。

いわゆるオカズとして見ているAVの女優の顔は咲希のそれに置き換わり、その声が彼女の声とダブっていく。そして、ついには何も見ないままただ彼女とのセックスを思い描いて自らを慰めるまでになってしまっていた。

しかし、学校ではそんな様子を見せるわけにはいかない。
私は極力学校では咲希のことを避けるようになっていた。

「ん!もう!先生・・・こーんなにかわいい女の子が抱きついてるのに、ひどーい!」
いつものように教材準備室にいると、いつの間に忍び寄ったのか、咲希が後ろから突然抱きついてきた。咄嗟に振り払うと、彼女は不服そうに頬を膨らませる。

「勝手に入ってくるな」
そう言うが、咲希はまるで聞き入れない。椅子を引き寄せると私のそばに腰を掛ける。
「相談があるんです、先生」

う・・・っ

相談がある、と言われると、無下に追い返すのが難しくなる。いたずらっぽい顔で私のことを見上げると咲希は言った。

「最近、変な夢を見るんです・・・」
「夢?」

そこで咲希が語ったのは、不思議な話だった。

「夢占モルフェって知ってます?」
「いや」
「友達が聞いてきた噂で・・・」

どうやら咲希の友達の友達とやらが奇妙な噂を聞いてきたらしい。裏新宿にあるという、その占い屋には黒髪の魔女がいて、そこでは夢占いだけではなく、夢を買うことが出来る、というのだ。

「んで、その友達の友達のお兄ちゃんって人が、そこで夢を買ったんだって」
「夢を・・・買う?」

私はちょっと間の抜けた返事をしたと思う。夢を買うなどという子供じみた話を誰が信じられるか?いわゆる都市伝説の類だろうと考え「馬鹿なこと言ってんじゃない」とデスクの方に顔を向ける。
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