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淫夢売ります
第45章 仮面の夜会/三夜目:ゲリエール
☆☆☆
「なんか損したかもなあ」
私は手元にバッグの中から先程買ってきたカードを取り出してため息をついた。「夢占モルフェ」の話は自分から言い出したのだが、まさか実在するとは思わなかったのだ。ちょっとした娯楽というか、話の種にするつもりだった。
ところが、実際に本当に店はあった。
亜希子と里宇の手前、「夢を買ってみよう」と言わざるをえなかったし、自分が言い出しっぺだったので、引くに引けなかった。
「こんなカードに2万5千円?・・・無駄だった・・・よね?」
夫の収入がどうにも当てにならず、好きだったアクセサリー作りを副業で始めたのが3年前。小規模のネット販売から始めたのが意外にも軌道に乗って、今では自作のアクセサリーだけではなく、同じようなアクセサリー作りをしている人とユーザーを結ぶネット販売店を立ち上げて、立派なビジネスとして成功させている。家の一角をオフィスに改造し、人まで雇っているので、気分はちょっとした会社の社長だった。
そんなわけで、『損・得』にはとても過敏になっているところがある。
むしろ、それに過敏だったからこそ、ここまで成功できたのではないかと思っている。
「優里さん、昨日の港南からの仕入れの件なんですけど」
考え込んでいると、社員として働いてくれている松下佳菜江さんが、PCから顔を上げて声をかけてきた。彼女はうちの仕入れや在庫管理を担当してくれている。そのほか、会計と発送担当の郡山静江さんが奥の部屋で作業をしているところだった。
うちの会社、『ジュエリー夢里』はたまにバイトを入れることはあるが、主としてこの3人が中心で経営をしていた。
「どうしたの?」
聞くと、どうやら発注数を大幅に下回る分量しか入荷できなかったというのだ。それを聞いて、私はカチンと来た。こうした小規模ショップにとって、機会損失は最も基本的な避けるべき事態だ。こちらは約束を守って発注している。それを一方的に・・・。
「分かった、港南の渡部には私が電話するわ」
「すでにうちも発送の予約受けているのが結構ありますからね」
「全く・・・うちのこと見下してるのよね」
「なんか損したかもなあ」
私は手元にバッグの中から先程買ってきたカードを取り出してため息をついた。「夢占モルフェ」の話は自分から言い出したのだが、まさか実在するとは思わなかったのだ。ちょっとした娯楽というか、話の種にするつもりだった。
ところが、実際に本当に店はあった。
亜希子と里宇の手前、「夢を買ってみよう」と言わざるをえなかったし、自分が言い出しっぺだったので、引くに引けなかった。
「こんなカードに2万5千円?・・・無駄だった・・・よね?」
夫の収入がどうにも当てにならず、好きだったアクセサリー作りを副業で始めたのが3年前。小規模のネット販売から始めたのが意外にも軌道に乗って、今では自作のアクセサリーだけではなく、同じようなアクセサリー作りをしている人とユーザーを結ぶネット販売店を立ち上げて、立派なビジネスとして成功させている。家の一角をオフィスに改造し、人まで雇っているので、気分はちょっとした会社の社長だった。
そんなわけで、『損・得』にはとても過敏になっているところがある。
むしろ、それに過敏だったからこそ、ここまで成功できたのではないかと思っている。
「優里さん、昨日の港南からの仕入れの件なんですけど」
考え込んでいると、社員として働いてくれている松下佳菜江さんが、PCから顔を上げて声をかけてきた。彼女はうちの仕入れや在庫管理を担当してくれている。そのほか、会計と発送担当の郡山静江さんが奥の部屋で作業をしているところだった。
うちの会社、『ジュエリー夢里』はたまにバイトを入れることはあるが、主としてこの3人が中心で経営をしていた。
「どうしたの?」
聞くと、どうやら発注数を大幅に下回る分量しか入荷できなかったというのだ。それを聞いて、私はカチンと来た。こうした小規模ショップにとって、機会損失は最も基本的な避けるべき事態だ。こちらは約束を守って発注している。それを一方的に・・・。
「分かった、港南の渡部には私が電話するわ」
「すでにうちも発送の予約受けているのが結構ありますからね」
「全く・・・うちのこと見下してるのよね」

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