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淫夢売ります
第29章 白の花園:閉ざされた庭園
気がつくと、窓の外が黄昏色に染まりだす。
「お昼は霧が出ていたけれど、いいお天気になったわ」

ここで私はちょっと不安になった。
楽しいのだけど、いつまでここにいていいのか、わからなくなったのだ。
夢だとしても、目覚めなくてはならないのではないか?と思ったのだ。

「そろそろ・・・帰らなきゃいけないんじゃないかな・・・と」
そう言うと、ユミはとても残念そうな顔をした。
「裕美・・・帰るの?」
「うん・・・大学行かなくちゃいけないし」
ここが夢の中、というのは、ユミには言っちゃいけない気がしたので内緒にすることにした。
立ち上がった私の手をキュッとユミが両手で握りしめる。

「また、来てくれる?」
そう言って、上目遣いで見られ、私は不覚にもドキドキしてしまった。
「う・・・うん」
ユミとの時間は楽しかった。また、この夢を見られるなら、見たい、と素直に思えた。
握った私の手をユミが胸元に引き寄せる。ワンピースの上からユミの温かい膨らみに手の甲があたり、それでもまた、ドキリとした。
「じゃあ・・・約束・・・」
ね?と微笑む。
「うん・・・来れるかどうか、わからないけど」
そう、わからない。私はあいまいにしか返事ができなかった。
今日だって、霧の中を歩いてきたせいで、ここまでの道もわからない。そもそも、この夢をもう一度見られる保証もないのだ。
ユミが微笑む。例の、ふわっとした笑みだ。目を細めて、顔を寄せてくる。
「大丈夫・・・約束・・・約束だから」
私とユミの顔が近づく。ユミの吐息を感じるほどだった。

お菓子を食べていたせいだろうか、それとも、これがユミの匂いなのだろうか、甘い香りが鼻腔をくすぐる。

「キ・・・スしたら・・・してくれたら・・・きっと・・・」
ユミの唇が、私のそれに、そっと重なった。

男の子の唇とは違う・・・ふわふわとした感触。
甘い匂い。
胸に押し付けられた手に感じる、柔らかい身体。
何もかもが気持ちよくて、クラリとする。
唇をついばむようなソフトなキス・・・多分、10秒くらい。

そっと顔が離れると、嬉しそうなユミの顔。
私は今、ユミが触れていた自分の唇を指でなぞった。
そこは、まるで火がついたように、熱かった。

「大丈夫・・・また、来られるよ。約束のキス、したから」
そう言って笑ったユミの顔が、この夢で私が覚えていた、最後の光景だった。
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