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淫夢売ります
第28章 白の花園:知らない夢

「私の名はユメノ。当館の主です。
さて、今日は、どういった御用向きでいらっしゃいましたか?」
テーブルに両肘を付いて、こちらをじっと見つめてくる。その目にまた吸い込まれそうになる。現実に戻るために軽く頭を振ってみた。
「え・・・と、夢から悩みを解決できると聞きまして」
「夢占ですね?夢の性質にもよるんですが、鑑定料は概ね3000円といったところです。高くとも5000円にはなりません。大丈夫ですか?」
これが占いとして高いのか安いのか、判断がつかない。とりあえず頷いておくことにする。
「では、夢の内容をお聞かせください。何か、気になる夢があるんですよね?」
「はい・・・ここ1〜2週間、毎日必ず同じ夢を見ていると思うんです」
「思うんです、というのは?」
「すいません・・・内容を覚えていないんです。ただ、起きた時、必ず泣いていて・・・それで、とても悲しくて、切ない気持ちになっているんです」
「同じ夢、という確信だけあると?」
「はい。それは間違いないように思います。起きた時の感じがいつも同じだから」
「なるほど・・・」
ユメノが顎に人差し指を当て、上目遣いに何やら考え込む仕草をする。
暗い神秘的な店内に、黒尽くめのユメノの姿・・・それは見惚れてしまうような怪しい美しさを感じさせた。
「ちらりとも覚えていらっしゃらない」
「はい」
そうなのだ。私は夢の断片すら覚えていない。目が覚めた一瞬はなんとなく感じるものがあるのだが、すぐに手で掬った水がさーっとこぼれてしまうように消えてしまうのだ。
さて、今日は、どういった御用向きでいらっしゃいましたか?」
テーブルに両肘を付いて、こちらをじっと見つめてくる。その目にまた吸い込まれそうになる。現実に戻るために軽く頭を振ってみた。
「え・・・と、夢から悩みを解決できると聞きまして」
「夢占ですね?夢の性質にもよるんですが、鑑定料は概ね3000円といったところです。高くとも5000円にはなりません。大丈夫ですか?」
これが占いとして高いのか安いのか、判断がつかない。とりあえず頷いておくことにする。
「では、夢の内容をお聞かせください。何か、気になる夢があるんですよね?」
「はい・・・ここ1〜2週間、毎日必ず同じ夢を見ていると思うんです」
「思うんです、というのは?」
「すいません・・・内容を覚えていないんです。ただ、起きた時、必ず泣いていて・・・それで、とても悲しくて、切ない気持ちになっているんです」
「同じ夢、という確信だけあると?」
「はい。それは間違いないように思います。起きた時の感じがいつも同じだから」
「なるほど・・・」
ユメノが顎に人差し指を当て、上目遣いに何やら考え込む仕草をする。
暗い神秘的な店内に、黒尽くめのユメノの姿・・・それは見惚れてしまうような怪しい美しさを感じさせた。
「ちらりとも覚えていらっしゃらない」
「はい」
そうなのだ。私は夢の断片すら覚えていない。目が覚めた一瞬はなんとなく感じるものがあるのだが、すぐに手で掬った水がさーっとこぼれてしまうように消えてしまうのだ。

