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わたしの彼は 甘くて強引
第8章 油断の代償

「――…どこへ行く」
「……!」
腰を上げた二人の前に、匠が立ち据えていた。
「…何だ…帰るのが早かったな市ノ瀬」
「これは何だ?」
「…あっ…それは…ッ」
柚子から週刊誌を取り上げた匠は中にざっと目を通し、
ひとつの記事で止まった。
「…ふん、こんなのをよく見つけてきたな…」
心配そうに見つめる彼女を無視して、匠は男に週刊誌を突き返す。
「悪びれる様子もないんだね」
「だからどうした?…俺が医者でいるのは相応しくないと、そう言いたいのか」
「別にそんな事は気にしないさ。僕はそういう…偽善的な考えは嫌いなんだよ」
「…ハッ…意外にも気が合いそうだな、お前」
匠は馬鹿にするように嘲笑った
「持論を押し付けてくるどこかの茶髪男より、まだ可愛げがある……!」
「匠さん…っ」
彼の言葉に、柚子ははっとして顔をしかめる。
「だがな…――」

