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僕の麗子さん
第6章 苦悩

そのタクシーに乗り込む。
雨は益々激しくなるばかりだった。

僕は今夜、麗子さんを帰したくなかった。
どうしても一緒に居たかったのだ。

タクシーに乗り込むと携帯を出し暫く会っていない父、晃に電話をした。

「こんな、夜遅くにどうしたんだ?領」
「父さん、今夜父さんの事務所の部屋を借りてもいい?」

「どうしてだ?」
「うん、彼女がいるんだ…」

「そうか、そう言う事情なら事務所を貸そう」
「ありがとう、父さん…」

「領も、暫く会わないうちにそんな相手ができたんだな…しっかりやれよ…」
「ありがとう、父さん…」

そう言うと僕は電話を切った。
麗子さんはその会話を聞いていた。

「ダメよ、領くん、私、行けないわ…途中で下ろして頂戴…」
「ダメだよ、今夜は僕と一緒に居て欲しいんだ、お願いだから…」

麗子さんは迷っていた。
僕はタクシーの運転手に行先を告げる。

「自由が丘のライジングビルまでお願いします」

運転手は頷くと車を走らせた。
どうしても、今夜は麗子さんと一緒に過ごしたいと思った僕だった。

外は、雷が鳴り益々激しく雨が降ってきていた。

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