この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
僕の麗子さん
第6章 苦悩
そのタクシーに乗り込む。
雨は益々激しくなるばかりだった。
僕は今夜、麗子さんを帰したくなかった。
どうしても一緒に居たかったのだ。
タクシーに乗り込むと携帯を出し暫く会っていない父、晃に電話をした。
「こんな、夜遅くにどうしたんだ?領」
「父さん、今夜父さんの事務所の部屋を借りてもいい?」
「どうしてだ?」
「うん、彼女がいるんだ…」
「そうか、そう言う事情なら事務所を貸そう」
「ありがとう、父さん…」
「領も、暫く会わないうちにそんな相手ができたんだな…しっかりやれよ…」
「ありがとう、父さん…」
そう言うと僕は電話を切った。
麗子さんはその会話を聞いていた。
「ダメよ、領くん、私、行けないわ…途中で下ろして頂戴…」
「ダメだよ、今夜は僕と一緒に居て欲しいんだ、お願いだから…」
麗子さんは迷っていた。
僕はタクシーの運転手に行先を告げる。
「自由が丘のライジングビルまでお願いします」
運転手は頷くと車を走らせた。
どうしても、今夜は麗子さんと一緒に過ごしたいと思った僕だった。
外は、雷が鳴り益々激しく雨が降ってきていた。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


