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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第32章 『旧レイン邸宅にて』

今更、どんな綺麗な言葉を並べて
取り繕おうとしたところで、
森園の言葉が伊藤雄介の心を
動かすには値する訳もなく…。

森園が自分に都合のいい発言を
繰り返す度に…伊藤の顔が
黒くくすんで…歪んで行く様にさえ見える。

まぁ…、ここだけの話にはなるが。

遊亀正樹の奥さんの
遊亀美月さんに関しては
お気の毒な事この上ないし
同情をしてはいるけど。

そんな伊藤雄介に対しては
僕はそこまで入れ込んでいる
訳ではないので…。

面倒な奥さんを貰ってお気の毒に
でもそれだけのいい思いしたんでしょ?
自分も大概の事したんだし
因果応報だよね?
って程度にしか思ってないんだけど。

僕がわざわざちょっと早いタイミングで
真奈美ちゃんに声を掛けて
伊藤雄介をバンケットルームの前で
待機させてた理由は…。

その自分の奥さんが入れ込んでる
生田港斗が…自分が森園と
結婚するために捨てた
友坂巴と親密な間柄にあるのを
見せつけたかった…からだ。

勿論これは…前嶋・小林両名から
受けた依頼には微塵にも掠ってないし。


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