この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
100のベッドシーン
第18章 書けなかった一行を、あなたがくれた

そのまま、私は言ってしまいそうになった。
――ずっと、あなたの作品が好きだった。
――あなたに、会いたくてこの仕事を選んだようなものだった。
でも、その一言は喉の奥に詰まって、沈黙になった。
その沈黙のなか、彼の手が、私のグラスにそっと触れた。
酔いと熱のせいで、身体の輪郭が曖昧になる。
「……澄香さん」
「はい……?」
「眠くないですか?」
「……少しだけ」
「ベッド、使ってください。僕はソファで寝ますから」
そう言われて、私は無言で頷いた。
言葉を交わせば、何かが壊れてしまいそうだったから。
でも、心の中ではずっと、彼の声が残っていた。
“自分の中の影を、人の中に見るんです”
だったら私は、あなたの中に何を映しているんだろう。
──その夜、眠りにつくまで、私は何度も彼の名前を心の中で呼んだ。
――ずっと、あなたの作品が好きだった。
――あなたに、会いたくてこの仕事を選んだようなものだった。
でも、その一言は喉の奥に詰まって、沈黙になった。
その沈黙のなか、彼の手が、私のグラスにそっと触れた。
酔いと熱のせいで、身体の輪郭が曖昧になる。
「……澄香さん」
「はい……?」
「眠くないですか?」
「……少しだけ」
「ベッド、使ってください。僕はソファで寝ますから」
そう言われて、私は無言で頷いた。
言葉を交わせば、何かが壊れてしまいそうだったから。
でも、心の中ではずっと、彼の声が残っていた。
“自分の中の影を、人の中に見るんです”
だったら私は、あなたの中に何を映しているんだろう。
──その夜、眠りにつくまで、私は何度も彼の名前を心の中で呼んだ。

