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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第37章 万引き2〜書店の罠〜
『カメラなんかなかったはず…。何を言って…。』

混乱する優愛に店員はカウンターの上にあったノートパソコンを引き寄せ、画面を優愛の方に向けた。

「えっ…!?こ…これは…!?」

画面には複数の店内映像が映し出されていた。死角が全くない状態でいろんな角度から撮っていることがわかる。

店員がパソコンを操作すると、1つの画面が大きくなる。それはちょうど優愛がいたファッション雑誌のコーナーを上から映したもの。店員が操作すると、映像が巻き戻されていく。

優愛の顔がどんどんと青ざめていく。

『や…やめて…。だめ…。それは…。み…見せないで…。』

視線を背けたいが、それも出来ず、優愛は扉の前で立ち尽くすことしか出来ない。

やがて、雑誌コーナーに優愛が立っているところまで巻き戻しされた映像が再生に変わる。店員はずっと無言のまま、優愛を観察するように見ている。

再生ボタンが押されてからすぐに優愛が雑誌をバッグに入れる瞬間が映し出された。

優愛の目の前が真っ暗になる。

『終わった…。もう終わりだ…。』

優愛は身体を震えさせ始める。そんな優愛に店員が再度言う。

「これを見てもまだ知らないと言いますか?すみませんが、奥で話しをさせてもらえますよね?」

ジロリと睨まれ、強めの口調で言われ、優愛は頷くことしか出来なかった。店員はドアの前から優愛を店に押し込むように移動させる。そして、入口の表示を【CLOSE】に変え、鍵をかける。

店員が1人しかいないから、優愛と話す間に客が来られたら困るからだろう。優愛はそう思いながら、ただ店員の動きを見ていた。

店員は優愛を連れて店の奥へと向かう。本棚の隙間に埋もれるかのように小さなドアがある。STAFF ONLYと書かれたそのドアが開かれ、優愛は中に押し込まれる。

入ってすぐ左は事務所のような作業スペース。右は休憩所のような畳スペースがそれぞれあった。店員は畳スペースの方に靴を脱いで上がるように優愛に伝える。

渋々ではあるが優愛は従うしかなく、靴を脱いで畳に上がる。簡素な部屋である。中央にテーブル。壁際にテレビと小さな冷蔵庫。その上にお湯を沸かすポット。家具はそれだけ。あとは仮眠を取るためか、隅には布団が畳んである。

「そこに座って。」

店員がテーブルの前を指す。優愛は糸が切れたかのようにぺたりと座り込む。
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