この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)

友好的に見えてもよそでは陰口や噂話をする。
その者の本心など手に持つ扇で隠してしまう。
「姫様、庭はご覧になられましたか?」
「いえ、まだですが」
「ご一緒に見に行きませんか? 湖を眺めながら見る庭はとても綺麗ですのよ」
それは興味をそそられる。
しかし、令嬢たちと見たいなどとは流石に思えない。
だが、敵意を見せていた時ならともかく、処世術に乏しいサクナは断れるほど強気にもなれない。
王妃とは皆に親しくするものだから。
サクナは重い腰をあげ令嬢たちと大広間を後にすることにした。
「やあ、久しぶりサクナ」
その時、声をかけてきたのは…………ヴィストーターだった。

