この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)

「母様と一緒に暮らせるの?」
「ああ、ここからだと森は遠くなるが、お互いその方がいいだろ」
王宮で暮らすより後宮の方が環境もいいだろうとルカはサクナが懐妊したらそうするつもりだったらしい。
「そっか……」
「少し寂しい?」
母と一緒に暮らせるのは嬉しいが、逆にルカと一緒にいる時間が少なくなってしまう。
今まで特別だったに過ぎない。
本来ならサクナは後宮に住むことになっていたのだから。
「少しだけ……でも、会えなくなるわけじゃないから」
「挙式が終わっても暫くは一緒に居れるしな、健全に庭でも散策するか」
ルカはフッと微笑み、サクナに顔を寄せた。
口づけをするのかと思い目を閉じようとしたとき、ルカは言葉を続けた。
「サク、俺が言うのもなんだけどあまり気にしすぎも良くないからさ。取り敢えず無茶だけはするなよ?」
「……ルカ、そればっかり。そんなに信用ない?」
ルカはクスッと笑う。
間近で見るルカの蒼い瞳は優しく澄んでいた。
いつもより大人ぽいせいか、その優しげな表情に頼もしく安心感を得る。
「ある意味な、お前は自分の事は取り敢えず後回しにするタイプだからな。俺が過保護になる気持ちも少しはわかって?」
サクナ自身そんなに無茶をするタイプではないと思っている。ルカの目にはそう見えるのだろうか。
「わかってる私も護ってあげたいから」
「そうだな……それならだいじょうぶか」
と、ルカはサクナにキスをした。
今朝、目覚めてから初めて交わした口づけは、やはり甘くそして優しいキスだった。

