この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
シャイニーストッキング
第9章 絡まるストッキング3      大原本部長と佐々木ゆかり部長
 93 夜道…

「ゆ、ゆかりさん…」
 わたしはゆかりさんのその声の優しい響きを聴き取り、心が震え、堪えきれずに目から一筋の涙を溢してしまう。

「ご、ごめんなさい…」
 それはわたしの心からの謝罪であった。
 そしてその涙は、謝罪と絶望の涙であった。

「み、美冴さん、とりあえず出ましょうよ…」
 するとゆかりさんはわたしにそう声を掛けてくる。
 その声からは、やはり、なぜか優しい響きが感じられるのだ。

 怒っていないのか…

 いや、そんな筈はない…

 いや、きっと、怒るのを通り超して呆れているんだ…

 わたしはそう想いながらも頷いて返事をする。

 すると、なんとゆかりさんは、わたしがトイレに立っている間にお会計を済ませていたのだ。

 やはり怒っているのだ…
 
 わたしがトイレに立ったら直ぐにお会計を済ませている、それが何よりも怒っている現れなのだと思われる。
 そしてわたしはとりあえず慌てて涙を拭い、バッグから財布を取ろうとすると。

「とりあえず外に出ましょう…」
 そう云ってゆかりさんはサッと先に店を出た。

「ねえ、美冴さん、少し歩きませんか…」 
 するとわたしに有無を云わさぬ感じでそう云って、スタスタと先に歩き始めてしまったのである。

「…………」
 とりあえずわたしは、黙ってゆかりさんの後を追うように歩いていく。

 カツ、カツ、カツ、カツ…

 コツ、コツ、コツ、コツ…

わたし達二人の歩くヒールの音がリズムを刻みながら、夜道に響いていく。

「…………」

 カツ、カツ、カツ、カツ…

 コツ、コツ、コツ、コツ…

 ゆかりさんが少し前を歩き、わたしが黙って後ろを歩いていく。
 その美しい、凜として歩く後ろ姿に、わたしは声を掛けられないでいた。

 カツ、カツ、カツ、カツ…

 コツ、コツ、コツ、コツ…

 国立競技場の脇を通り、絵画館前から神宮外苑方面へと歩いていく。
 今夜は台風が接近しているらしく、夜風がやや強く吹いており、ここのところの夜でも汗ばむような蒸し暑さは弱冠、弱まってはいた。

 時折、夜風がサーッ吹き、青々と茂っている絵画館前から神宮外苑の樹木の間を、風が走り抜けていく。

 カツ、カツ、カツ…

 コツ、コツ、コツ…

 するとゆかりさんの歩みが緩くなり、わたしの方を振り返る…






/2802ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ