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シャイニーストッキング
第20章 もつれるストッキング4       律子とゆかり
 198 帰りのタクシー(10)

「告白なんかじゃなくってさぁ…
 あなたの熱い想いを伝えたり、さりげなく問いかけてみたらぁ…ってことよ」
 と、美冴さんは、その優しい慈愛の想いを伝えてくる。

 あ、そ、それって、もしかして?…
 
「うんそう、もういちどさぁ、問いかけてみるのよ…」
 その言葉は越前屋さんにではなくわたしに対しての囁き…

「あ、えぇ、美冴さん、わたしまだぁ、一度も大原常務にぃ…」
 越前屋さんは戸惑いながら否定してくる。
 
「うん、そう、そうよね、ごめんね、そうだったわよね、なんだかさぁ、ほら、本当に越前屋さんがかわいくってさぁ、つい熱くなっちゃったみたい…」
 そう言いながらもわたしの目をジッと見つめ、手と脚で慈愛の想いを伝えてくる。

 あ…う、うん…
 それは…その美冴さんの言葉は…

「でもほらぁ…
 伝えないと想いは相手に届かないから…」
 そして美冴さんはわたしを見つめ、その目で…
『もういちど想いを…』
 まるで、わたしにそう囁くように...

「せっかく明日、お誘いしたんだからさぁ、頑張ってアピールしてみたらぁ…」
 と、明るい口調で越前屋さんに…

 ううん、いや違う…

 美冴さんはわたしに対して…

『さっ、きの松下秘書に対する疑惑、疑問を…
 しっかりと確認してみたら?…』
 と、そうわたしに伝えてきたのだ、いや、そうに違いない。

 この狭い密室といえるタクシーの車内であるから...
 いくら越前屋さんとはいえ、下手な言葉は声には出せない。
 
 それにわたしと美冴さんの間柄には…
 もう…
 言葉なんていらないのだから...

 この目と、手、指の交わりと…
 そしてこのストッキング脚という…
 大原浩一常務という男、オトコにとっては欠かせない…
『ストッキングを穿いた美しく、魅惑の脚…』
 という存在感同士の熱い触れ合いから十分に伝え、伝わってくるのだから。

 うんわかったわ…
 美冴さんありがとう…
 明日の夜もういちどあの二人に…
 もういちどしっかりと向きあってみるわ…

 わたしは目と、手指と、ストッキング脚を通じて、そう美冴さんに応えた。

 タクシーは静かに走り、間もなく会社のある西新宿へと到着する…

 第20章もつれるストッキング4
       律子とゆかり
          完




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