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第17章 もつれるストッキング1　　　　　松下律子

　30　……プランナー

「生活へのプラス比重？」

「はい」
　更に越前屋くんは熱く語ってくる。

「はい、生活へのプラス…
　それはつまり、生活、貯蓄、金融、其れ等の生活に必要な、必要になってくるもの全てを一緒になって提案していく…」

「………」
　私は熱い越前屋くんの話しに聞き入ってしまう。

「うまりは人生設計…
　そうライフプランナー的なアドバイザーになる、いや、アドバイスをお客様と共に提案し、考え、勧めていく…」

「ライフプランナー…」

「はい、これからの生保セールスレディは、ただ保険商品を勧誘、契約するだけではなく、そんなライフプランナー的になるべきである…と、わたしは考えていて…」

　すると、また、その越前屋くんの話しを聞いている秘書である律子くんも頷いてくる…

　そして確か律子くんの履歴書には、ライフプランナーの資格の記述があった…

「うーん、なるほど…
　ライフプランナーか…」

「そして、そのライフプランナーを更に派生させての…」

　ファイナンシャルプランナーとか…

「あ、ファイナンシャルプランナーか…」

「はい、ライフプランナーとか、ファイナンシャルプランナーとか…」

「うむ、なるほどなぁ…」

「そして、前にそんな提案をしたら…
　更に隅に追いやれてしまってぇ…」

「あ…そうか、そうだったな…」


　そう、以前のこの生保会社は…

　優秀な女性社員達を、いや、優秀であればあるほどに彼女達を虐げてきた会社であったのだ。

「はい…
　だから、そんなレディスパワーをもっと活用してぇ…」
　
　そう、これからは、生命保険商品だけではなく、全てに関わる…
　ライフプランナーであり、ファイナンシャルプランナー等がかなり重要になってくる筈なのだ。

　いや、そんな時代になっていく筈なんだ…

「うむ、なるほどなぁ…」
　私はそんな越前屋くんの熱い想いの話しを訊き、関心と納得をしてしまう。

　そして…

　秘書である筈の律子くんも、ライフプランナー等の資格を有しているせいもあるだろうし、また、そんな越前屋くんの話しにもやはり私と同様に関心と納得をしたのだろう…

　黙って話しを訊きながら、うんうん…
　と、頷いていた。

「あ、すいません…
　つい、熱くなっちゃってぇ…」

「いや、素晴らしい話しだよ」