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シャイニーストッキング
第14章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり
 258 指先(13)

「ぁぁ……や…だ………」
 そう、わたしは杉山くんをイメージしてイッてしまった自分が悔しかった。

 杉山くんのくせに…

 いや、『ビッケ』のくせに…

 なんとか脳裏から杉山くんイメージを…

 あの生々しい感触を…

 消し去ろうとしていくのだが…

 なぜか、彼、浩一さんのイメージが浮かんでこないのだ…

 愛している筈の…

 愛しい男の筈なのに…

 さっきの杉山くんの生々しさが、浩一さんのイメージを弾き飛ばしてしまうのである。

 あぁ、どうしよう…

 だが、逆に軽くイッてしまったせいなのか、疼きがますます昂ぶってきていた。

 すると今度は、突然、今夜一緒に飲んだ鈴木くんの顔が浮かび上がってきたのだ。

 ああ、鈴木くんもダメよ…
 そう抗い、わたしは必死に脳裏で打ち消していく。

 すると次は、鈴木くんの彼女の松山美咲ちゃんの顔が浮かび上がってきたのである…
 だが、それも必死に脳裏で打ち消していく。

 だが、突然に、焦る心の奥深くから、いや、鼻孔の奥深くから甘い香りが漂ってきたのである…

『わたし、美冴さんに憧れて、そして美冴さんの真似をして、ムスクのフレグランスを付けてるんですぅ…』

 そして、今日のトイレで彼女と会話した、そんな言葉が蘇り…

 美冴さんのイメージが…

 あの美しい顔が…
 浮かび上がってきたのである。

 ああ、美冴さん…

 わたしは美冴さんのイメージを感じた瞬間に心が震えてしまい、そして鼻孔いっぱいにあのムスクの甘いフレグランスの香りが拡がってきたのだ。

 美冴さんなら…

 昨夜も美冴さんをイメージして、そして欲情をして、自らしてしまったから…

 美冴さんならいいわ…

 美冴さんなら…






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