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第14章 絡まるストッキング８　　　　　　　　部長佐々木ゆかり

　26　驚き…

「室長さん、えつは意外とモテるんですよ」
　と、伊藤さんはわたしの驚きを察知して、そう言ってきたのである。

　意外とモテる…

　まさか、このかわいい、越前屋さんが…

　今の今まで、全くそんな匂いは感じられないでいた…

　そんな伊藤さんの言葉に、本当にわたしは驚いてしまう。

　わたしの中での越前屋さんのイメージは、マスコットキャラクター的な存在であったから、彼女には失礼ではあるのだがとても男の影を感じられないのであったのだ…

「へ、へえ、そ、そうなんだ…」

「もお、あっちん、そんな事言うのやめてよぉ」
　越前屋さんは照れくさそうにそう呟いてくる。

「ええー、だって本当じゃん」
　伊藤さんは面白そうに続けて言ってきた。

「ほらぁ、ゆかり室長がぁ、引いちゃってるじゃないのよぉ」
　越前屋さんはそう言いながら、わたしの顔を見てくる。

「えっ、あ、いや、引いてはいないわよ、ただ、わたしの中での越前屋さんはイメージが違ってしまって…
　少し驚いたっていうかぁ…」

「あぁ、ほらぁ、やっぱりぃ引いちゃってるじゃないのよぉ」
　だが、そう言う越前屋さんの目は笑っていた。

「あ、ゆかり室長でもね、アレなんです、あのぉ…」
　すると越前屋さんは、そんな感じで言い辛そうに呟いてくる。

「実はぁ、わたしぃ、半年持たないんですぅ…
　いや、持って三ヶ月位かなぁ…」

「えっ、そうなの？」
　却って驚いてしまう。

「ほら、男ってぇ、すぐに…」
　そう言うと越前屋さんは少し赤らんだ顔をしてくる。

　何か言い辛そう…

「男ってぇ、ほらアレじゃないですかぁ」

「えっ、アレって？」

「すぐにシたがるじゃないですかぁ…」

　わたしにはその彼女の言葉の意味がすぐにはわからなかった…

「えっ、シたがるって……あっ……」
　そして分かった。

　まさか…

「わたしぃ実は、そういうの苦手でぇ…
　ダメなんですぅ…」

　そういうことかぁ…