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シャイニーストッキング
第13章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一
 179 律子との電話 ⑨

「もしもし…」
『あ、律子です、今お電話大丈夫ですか?』

「あ、うん、大丈夫だよ」
 そう冷静を装って電話に出たのであるのだが、やはり律子の声を聞いた瞬間になぜか心が高鳴り、昂ぶってくるのである。
 そして少し違和感も感じたのだ。

「うん、どこかに出掛けているのか?」
 そう、律子の声の後ろが少し賑やかなのである。

『はい、わかりますか今「夢の国」にいるんです
 そう言ってきたのだ。

 『夢の国』
 ついこの前、律子に誘われて行った…
 あの情景が蘇ってきていた。

 そういえば律子は『夢の国』の年間パスポートを持って年中通っていると言っていた…

「ああ、そうなんだ…」
『はい、そうなんです』

「誰と行っているんだい?」
 そう訊いた瞬間に、
 しまった、愚問だ…
 と、咄嗟に思う。

『え、一人…ですけれども』
 と、律子は少し、含みを保たせるかの様な感じで応えてくる。

 しまった…

『あ、え、もしかして…と、思ってくれたのかしら』
 さすが律子であった、そんな私の失言的な事は聞き逃さない。

「い、いや、そういう訳じゃなくて…」
 どうも私は、ゆかりといい、この律子といい、この二人の美女達からはなかなか主導権が取れない様なのである。

 そもそもが、よく一人で年中この
『夢の国』に通っているって言っていた筈じゃないか…

『うふ、もしかして誰かと一緒なのかもって、少しだけ嫉妬してくれたのかしら…』
 と、そう嬉しそうに囁いてきたのだ。

 ある意味、聡明な女はこわい…
 こうしてちょっとした事で瞬く間に弱みを握られてしまう。
 さっきのノンに対して、一瞬抱いた嫉妬心のせいからの失言といえると思われる。
 
「う、うん…」
 肯定も、否定もしなかった。

『いつもお盆休みには最低でも一度は来てるんです…でも…』

 でも…、なんだ?…

『でも、今回は…
 ダックの姿を見たら、アナタの事が思い浮かんでしまって…
 つい、電話しちゃったんです…』

 ザワザワザワザワ…

 ドキドキドキドキ…

 その律子の『アナタ』という言葉を聞いた瞬間に、一気に心が騒めき、昂ぶり、高鳴ってきたのである。

 ダックの…

 アナタの事が…



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