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第13章 絡まるストッキング7　　　　　　本部長大原浩一

　155　ゆかりとの電話（26）

「なるほど…」
　私は再びズキンと胸が高鳴ってしまう。

　ヤってお互いにスッキリできるならなんて、まるで今回の私ときよっぺの関係みたいじゃないか…
　やはりゆかりには全てお見通しなのか…みたいに感じてしまっていた。

　だが、さすがにそれはあり得ない…
　さすがのゆかりにでも、昨夜と今夜のきよっぺとの流れは想像すらできる筈がないのである。

　いや、想像ではなく、女の勘なのか…

『わたしなら、今後の怖さがなければ…』

「え…」
　なぜかドキドキとしてしまう。

『ヤらせちゃう…かもです…よ』
　そのゆかりの言葉に再び、ドキンと胸が高鳴ってしまった。

『きっと…ヤらせちゃうなぁ…』

　それは、いつまでもゆかりのことを放っておいたら…
　という、ゆかりからのメッセージに聞こえてしまったからである。

「あっうん、いや、あと少しだ、15日には間違いなく帰るから」
　と、私は思わずそう口にしたのだ。

「あ、はい、分かってます…
　待ってます…から…」

　待ってますから…

　更にズキンと胸に響いてきた。

　そして、その言葉の裏には
　わたしにだって色々とあるんだから…
　と、暗に私に対しての警告の言葉にも聞こえてきていたのだ。

　そういえば私はゆかりの過去の事は殆ど知らないな…

　確か、やはり３年前に、僅か半年間で離婚した…
　その位しか知らないのである。
　そして、それ以前は外資系の営業３課に居た事位しか知らない。
　そんなモノしかゆかりの過去の事は知らないのである。

　だから、油断するなよ、わたしにだって色々とあるんだから…
　と、まるで暗にゆかりから警告されているみたいであった。

「うん、こ、今度こそは15日には飛んで帰るからさ」
　私はそう言い切ったのだ。
　そしてその言葉は、本当に、本気の言葉であった。
　すっかりとさっきまでのきよっぺに対しての騒つく、浮ついた想い等はどこかに消え去ってしまい、本当にゆかりに逢いたくて、抱きたくて、愛したくて仕方がないのである。

　ある意味、調子がいい想いではあるのだが…
　しかしあくまでも私の中での優先順位はゆかりが一番、ナンバーワンであり、そして、絶対に失いたくは無い存在なのだ。