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シャイニーストッキング
第13章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一
 102 きよっぺ ⑧

 いくら律子がきよっぺとの共通点が多くあるとはいえ、現時点では無理であろう…
 とすればやはりこのきよっぺなのだ。

 彼女の存在感は昔からのこの姉貴的であり、母性的であるこの優しさなのである…

 そして20年振りの再会なのに自然に、すんなりと、一瞬で昔の想いに還れた…
 それが今の私自身の中で一番心地よく、そしてゆかり、美冴、律子という三人に対して秘かに作ってしまっているプライドという壁の存在は、このきよっぺに対しては無いという事に繫がっているのだ。

 そしてもう一つ…
 当たり前なのだが初めから二つ歳上なのである。

 初めから姉貴的で、母性的に甘えさせてくれていた、そしてそれが今になって心地よいのだ…
 20年間という時間的な壁は再会の瞬間からなかった。

 きよっぺに甘えたい…

 きよっぺになら甘えられる…

 私はそんな想いをしながらシャワーを浴びていた。


 私は、甘えたい…のか?

 そしてその想いに対して、不惑な感情も湧いてきてはいたのだ。
 だが、内心はそんな想いが湧く理由は分かっていたのである。

 それは…
 ここ最近の目まぐるしく変化を続けている、私自身の仕事での環境の出来事なのである…

 現時点ではマイナス要因は全くないといっていい程に順調ではあるのだが、
 実は『薄氷を踏むが如し…』の諺の様な、いつ転落しても不思議ではない現状であるのだ…
 たまたま、いい流れが続いているだけなのである。
 
 一つでも私自身が選択を誤ってしまったならば真っ逆さまに堕ちていく…
 いつの間にかに、そんな流れの渦に巻き込まれてしまっているのであるのだ。

 だがその選択を相談出来る相手はいない…
 ただゆかりという存在が一つの選択肢の道標を担ってくれているだけであり、緊張感は消せないのである。

 だから、ゆかり、美冴、律子の三人の存在は癒し的ではあるのだが、甘えではないのだ…

 甘えられる、甘えたい…のは、何の利害関係がない、このきよっぺなのである。


 そうだよ…

 きよっぺだよ…

 なんとなく、甘酸っぱい、そして切ない様な心の昂ぶりを感じながらシャワーを出た。

「ごめん、お待たせ…」
 
 そう言って寝室に戻り、きよっぺを見た瞬間である。

「あっ…」

 一気に、カラダも昂ぶってきたのである…





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