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シャイニーストッキング
第12章 絡まるストッキング6      和哉と美冴2
 126 夕焼け

 胸の昂ぶりの治まる気配がない…

 この昂ぶりはどうしたら鎮まるのか…

 本当に、わたしの意識の想いは、あの五年前の最後の夜の時間に戻った、いや、還っていたのだ。

 ああ、ヤバいわ…

 今、わたしは、あの五年前の最後の夜の様に、和哉の優しさにときめいてしまっている…

 ドキドキドキドキ…

 昂ぶりの騒めきが更に増してきていた。

 
 とりあえず心を落ち着けなければ…
 そう思い、わたしは海をもう一度眺めていく。

 夕方となり、空は徐々に碧みを増していた…

「ああ、ここからは日没は見えないのね…」
 わたしはそう呟いた。

 もう間もなく夕方なのである、わたしは急に日没が、サンセットの夕焼けが見たくなったのだ。

 あの真っ赤な夕陽と、夕焼けが見たい…

 徐々に沈んでいく夕陽、そしてゆっくりと赤色から蒼、そして藍色へと移りゆく空を見れば、この心の昂ぶりと騒めきも落ち着くのではないか…
 ふと、そう思ったのである。


「そうですね、この海岸は完全に東向きですから…」
 すると和哉はそう言ってくる。
 そしてこの水族館の西側は少し高台になっていて、有名なゴルフコースの松林が連なっていた。
 だから余計に夕焼け等は見えにくいのである。

 ああ、残念だわ、せっかく鎮められるかもしれないと思ったのに…


『ヤラせてあげちゃえばいいのよ…』

 すると、不意に、昨夜のゆかりさんが云った言葉が脳裏に蘇ってきたのである。

 えっ…

 ヤラせる…

 えっ、わたしは…

 わたしはもしかしたら、和哉とヤリたいのか…

 だからこの昂ぶりの騒めきなのか…

 ドキドキドキドキ…

 あの和哉の優しい、そして憧憬の目を見て、感じて、五年前の想いに心が還ってしまったから、あの頃の様に欲情の昂ぶりをしているのか…

 まさか…




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