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シャイニーストッキング
第12章 絡まるストッキング6      和哉と美冴2
 94 和哉の激情

 このタイミングを逃す訳にはいかなかった…

 逃げるなら、帰るなら、今しかないのだ…

 今しか…

 だが、慌てて和哉はわたしの帰ると告げた手を握ってきたのである。

 わたしは、和哉の目を見つめていく…

 そして和哉のその目からは必死な想いと、まだ昂ぶっている彼の激情の想いが伝わってきたのだ。

 ああ、わたしが悪いのだ…

 わたしが悪戯に和哉の想いを刺激して、煽ってしまったのだから…

 心にはそんな自虐と、焦燥感、そして和哉に対する罪悪感が湧いてきていた。

 そして和哉は握る手に、更に力を込めてくる。

 それはまだ、なんとかなるかも…
 と、思っている手の力といえた。

 だが、このタイミングは逃せない…

 どうすればいいか…
 わたしはそう必死に思いを巡らせながら、握っている手を見つめる。

「か、和哉ぁ…」
 そして思わず心の迷いが分かるような哀願の声を漏らしてしまった。
 
 ああ、ごめん、ごめんなさい…

 でも…

 でも、このまま抱かれる訳にはいかないのよ…

 だが、まだオスの昂ぶりの和哉の目からは、諦めの意思は伝わってはこなかった。
 そして彼は、玄関の方を向いたわたしの手を強く引っ張ってきたのだ。
 その強引さから彼の覚悟が伝わってくる。

「あん、か、かずやぁ…」

 わたしは、その強引な引っ張りに軽くよろけてしまう。

 ああ、もうダメだ…

 全てわたしがいけないんだ…

 仕方がない…


 わたしはその彼の熱い思いの強引さに、半ば諦めたのだ。

 だって…

 だって、わたしが悪いのだから…

 結果的にはわたしが和哉に火を点けたようなモノなのだから…

 そう思った途端にわたしのカラダの抗う力が抜けていった。





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