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見えない男の淫乱物語
第1章 透明人間

なにがなんだか訳がわからなかった。
しかし姿は見えなくとも
幸太郎という個体は
確かにそこにあるのを感じた。
幸太郎は眼を閉じて
そっと自分の頬に触れてみた。
剃り残した髭のジョリとした肌さわり…
ややエラの張ったいつもの顔の輪郭。
何も変わらない…確かに俺は存在する。
呼吸を整えてもう一度
静かに目を開けながら姿見を覗く。
愕然とした。
そこにはむなしく白衣が漂っているだけだから。
「透明人間?」
導き出した答えが空想小説のような結論だった。
幸太郎は急いで実験ノートを見直してみた。
「間違いない。
UV遮断内服液を調製したはずだ。
はっ!?もしかしたら
偶発的に発生したガスが曲者だったか?」
理論上、ガスなど発生するはずがなかった。
偶発的に発生したガスが
製造するのが困難といわれている
『モノケイン』と呼ばれる
物質を透明化してしまうモノに違いない。
「俺は世紀の大発明をしたんだ」
幸太郎は喜びに打ち震えた。
もしこれを学会に発表すれば
ノーベル賞間違いなしだ。
だが、世間に発表する前に
せっかく透明人間になれたのだから
少々悪ノリしてやろうと思った。

