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漏らしちゃったの?
第2章 海の秘密
2

今日から会社は新年度。
ざわざわとしたうちの部署はいつもの通り。

「蒼凪さん、ちょっといい?」

部長に声をかけられて、顔を上げた。
介護施設への福祉用具のレンタル、販売を行うこの会社は、女性社員が多く、部長も例外なく女性だ。

まぁつまり、社内で出会いなんてほとんど無いとも言えるけれど。

「なんですか?」

何気なく聞くと、部長はにっこりと笑う。

「蒼凪さん、デスクでお客様の電話対応とか予約の管理とか、しっかりできてるなぁって、みんなからも好評なのよ」

「……あ、ありがとうございます……!」

突然褒められたことに、悪い気など一切せず、自然と笑顔になってしまう。

「それでね、蒼凪さんも2年目でしょう? そろそろ現場へ行って、営業の仕事をしてみてもいいかなぁと思って」

「……営業?」

初めての提案に、つい不安な顔をしてしまう。

「大丈夫。最初は先輩と組ませるし、半年くらいは勉強するような形にはなると思うから」

「いま、やってる仕事は……?」

「そこも大丈夫。営業の仕事2割、今までの事務が8割って感じで、少しずつ、事務の仕事を他の社員に引き継ぐような形になっていくと思うわ。最初は仕事覚えながら引き継ぎもってなってしまって、大変なこともあると思うけど……どうかしら?」

ステップアップのチャンスだった。
わたしが1年間で得た、信頼が後押しする形での、新しい仕事。

引き受けてみても、良いと思った。


「……やってみます! うまくできるか、わかりませんが……」

「うん! 大丈夫よ。きちんとサポートはするからね」


こうして翌日から、営業の仕事がスタートする。
仕事は嫌いではなかったから、少しワクワクしていた。

……あんなことになるなんて、思ってもみなかったんだけれど……。
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