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Memory of Night 2
第50章 episode of 0

 妙な妄想が先立ち、女性の部屋に勝手に押し入ってしまうのは、人としてヤバイ行為だ。

「あの、不法侵入して、驚かせてしまい本当にすみませんでした……」

 秋広は目前の桃華に改めて深く頭を下げた。
 桃華から返事はない。
 のそのそと顔を上げると、目前に綺麗な顔があった。

「わ……っ」

 十センチほどの距離しかない。秋広は驚いて、思わずずざーっと後ろに下がった。

「嘘をついてる目じゃないな」
「……目?」

 目を見たくて、間近に顔を寄せてきたのだろうか。秋広の心臓はすでに破裂しそうだ。

「……相澤さんが言ってた。あたしが忘れた財布を秋広が届けに行ったって。昨日のことを話したら、勝手に部屋に入ったのは、香椎さんが倒れてるかもって変に早とちりしただけだと思うよって。……さっきまで、そんなわけないだろって思ってたけど」
「あの……本当にすみません……」

 秋広は気まずくなり、桃華から目を逸らした。桃華自身がそんなわけない、と思うようなことを、自分はしてしまったのだ。気まずいし、恥ずかしさでいっぱいだ。

「あんたーー秋広だっけ? 変わってるって言われない?」
「え、どうですかね……」
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