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Memory of Night 2
第17章 台風接近
宵は魚、明は料理、それぞれ作業を進めつつ本題へと入る。
「ところで明、今付き合ってるやついる?」
「……へ?」
手を止めて、目を何度かしばたたかせる。
「急に何の話? 彼氏ってこと? いないけど」
「じゃあ好きなやつは?」
「いない」
「好きなタイプは?」
「…………なんなのその矢継ぎ早な質問の数々は」
「いいから答えろって」
こっそり、上手く、遠回しに、という大山の要望を全て無視した結果、明からは怪しまれてしまったらしい。
「なんでそんなこと聞いてくるわけ?」
「…………」
なんでと言われても、理由を言えないので言葉に詰まってしまう。
「気になるから?」
「……あんたが? 嘘つけ。さっきからずっと視線魚じゃん。人に話しかける時くらいちゃんと顔見て話しなさいよ」
「……はいはい」
そういう礼儀に関しては、明は真面目だ。
宵は手を止め、明の顔を見据えて改めて同じ質問をする。
「好きな異性のタイプは?」
「…………」
だが、返事はない。ずいぶんな間を空けて、ようやく一言だけ返ってきた。
「そんなの面と向かって聞かれても照れるわ」
「……ふざけんなよ、おまえが顔見て話せって言ったんだろ。もういいから早く手を動かせ。腹減った」
「味見していーよ、多分刺身でも大丈夫な魚だから」

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