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† 姫と剣 †
第7章 決意
邪魔、と言っているのは、ロイとルシアの、という意味なのだろう。
脅迫が効かないことを悟ったリューイは、剣を下ろす。
掴めない。
こういう相手が1番難儀だ。
「姫のことは諦めろ。姫は、奴と……」
「え? それ君が言う?」
ぷっと吹き出したウィルはリューイに指を指す。
「ルシア姫はいい女だから、確かに抱いてみたいけど……」
「っ……貴様」
「まぁそうすぐ怒らないで」
立ち上がったウィルはニコリと笑う。
「ロイが欲しがってるから欲しいだけ。俺が本当に好きなのは、ロイの慌てる姿、だよ」
月明かりを吸い込んだかのような、その水色の瞳をリューイはじっと見つめる。
「狂っているな。意味が分からない」
「分からなくていいよ」
そう言って、ウィルはリューイに近付く。
言葉にし難い、歪んだ愛。
到底、リューイに理解できるものでは無い。
「て、いうかさ、ロイをいじめていいのは、俺だけなんだよ?」
途端にスッと笑顔をやめて真顔を見せるウィルに、リューイは片眉を上げた。
「何が言いたい」
「君は何を尻込みしてるの?」
「………………」
「君のせいで、ロイが本当に傷付いたら、俺は君を殺すよ」
場が凍てつく。
飄々としていて考えていることがよく分からない相手だが、今ウィルが本気なのはリューイも分かる。
だが、だからと言ってリューイに出来ることはない。

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