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不埒に淫らで背徳な恋
第8章 【本能のまま乱れ咲くのは愛と呼べるでしょうか?】

「あの、どうしてそこまで…?ご存知の通りバツイチですし仕事しか取り柄のない私が社長にとってメリットがあるとは到底思えないのですが」
「好きになるのに理屈なんてないでしょ?僕は誰が何と言おうとも瑠香ちゃんが良いの、そう決めてるの」
そこまで言われて嬉しくない訳がない。
こんなロマンチックなセリフ、明るい時間の珈琲店で言われているのが不自然なだけで。
でもそれは夜の食事を断り続けていたからであって致し方なく強行突破させてしまったのは私なわけで………
いかにも3桁はいきそうな高級腕時計を見て時間を確認し「そろそろだな」と言った社長に私からもお伝えしなければならないことがある。
「あの、小山社長…!お気持ちは凄く嬉しいです……ずっとお断りしてたのは極力公私混同しない為であって……社長のことは昔から尊敬しています」
「断るつもりなら今は聞かないよ?いくらでも待つつもりでいるからまずは僕をちゃんと見て欲しい」
今日はいつもと違い過ぎて眩しい。
2割増し格好良く見えてしまう。
他の客の目を引くほど小山社長はイケメンであることを自覚させられる。
「はい……だからこそ最初にお伝えしたいことが」
「何?言ってみて」
「本当に私……まだ他の誰とも恋愛する気になれなくて」
「うん、最初は皆そんなもんなんじゃない?」
「社長に失礼な態度取ってしまわないか怖いです」
「プライベートまで社長って思わないでよ、そこは僕もちゃんとわきまえるつもりだよ?プライベートでは毒吐いてもそれはそれでもっと好きになりそう」
「あ、私……元々サディストです」
「マジか!僕はマゾヒストだから息ぴったりだよ!」
「社長、声が大きいです…」
周りからクスクス聞こえてきて二人して赤面。
目が合って思わず笑った。
優しく髪を撫でられ最後に社長はこう言ってくれた。
「ゆっくりでいいんだ、僕もキミが知りたい。だからお互いに知るところから始めよう?」
妙にストンと腑に落ちた言葉だった。
だから私も素直に頷けたのかも知れない。

