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不埒に淫らで背徳な恋
第8章 【本能のまま乱れ咲くのは愛と呼べるでしょうか?】

言われた通り珈琲を買って一番奥の人目につかないカウンター席に座った。
私が壁側で小山社長は身体ごとこっちに向いている。
かなりの圧迫感………
私、これから何を言われるんだろう。
「もうそろそろ良い時期なんじゃないかと思って正式に申し込んでおきたいことがあるんだ」
仕事と時と同じようなトーンで話し始めた社長に失礼がないよう背筋を伸ばし話を伺う。
「単刀直入に言うね」と膝の上に正していた手を握られた。
今までに何度も口説かれていたし慣れているはずだったのに瞳の奥から真剣さが伝わってきて冗談で交わせなくなる。
「瑠香ちゃん……いや、佐久間瑠香さん」
「はい」
「僕はずっと君を待っていた……こんなに真剣になれたのは初めてなんだ」
え、ちょっと待ってください。
これってまさか……ですよね?
さっきからギュッと握られてる。
「いつもの感じじゃないのは気付いてくれてるかな?」
「あ……はい」
「見た目だけじゃなく中身もそう思ってくれていい。真剣な気持ちなんだってこと、どうしたら伝わるか考えたんだけどやっぱりストレートに言う方が良いと思って」
指先が僅かに震えてる気がした。
あの小山社長でも緊張してるのかな…?
もうこれはまさしく……
真っすぐ目を見てその想いを受け取った。
「僕と結婚を前提にお付き合いしてほしい……というより結婚してほしい」
そろそろ良い時期って、離婚してそろそろ立ち直っている頃合いだろうって意味だったのかな…?
すぐだと断られるの目に見えてるから…?
小山社長なりに色々と考えて今に至っているのも何となくわかる。
仕事でしか内面を知らないけど、何事も手を抜かない人だ。
見た目は少しチャラくてグイグイ来る人だったからある一定の距離を保つのに必死だった。
見た目とは裏腹に仕事は出来る人だから一目置いていたのも事実だし、尊敬していた。
それは今も変わらない。
だからこそ真剣に答えなければならないこともわかっている。
「瑠香ちゃん……?」
心配そうに覗き込む社長の前でポタポタと溢れ出る涙が止まらなくて焦る。
「ごめんなさい……泣くつもりじゃ」

