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恍惚なる治療[改訂版]
第6章 男性同士

「実は病院の図書コーナーに偶然佐伯さんと同名の方の小説を本棚で発見して、読んでみると帯の作家紹介で佐伯さんのお写真が載っていてビックリしましたよ。佐伯さんが小説家だと知ったのはその時ですね」
写真を載せた事があったかと記憶を巡らせると、昔1度だけ短編集で写真を載せた事があったような…
「佐伯さんの小説は奥が深くて、謎が複雑だけど推理していく中で解決していく爽快感が堪らなく面白いいです。初期の作品がどういったものか読んでみたくなって探してたんですよ」
「いや、荒っぽくて雑な部分も多いし、発行部数も伸びなかった作品なんで面白いとは言い難いですよ…」
当時の作品を読み返してみると、よく出版の許可が出たな…と自分で思うくらい稚拙な作品で、作者ながら読んで欲しくない気持ちがある。
楽しみにしている柳川先生に対してそんな事は口にせず、彼は本を手にレジへ向かうと医療書籍と一緒に購入した。
「帰ったら読みますね」
「ありがとうございます…」

