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恍惚なる治療[改訂版]
第6章 男性同士

「全部買っちゃいましたね?」
「まあ…でも手持ちの服が少なかったし、オールシーズン使える新しい服も欲しかったんで買えて良かったです」
次に向かったのは書店で、柳川先生は医療関係の書籍に目を通す。
ストレスや自律神経と言ったタイトルの書籍の他、胃腸の病気や不調に関する書籍も手に取っていた。
その本を手に取って別のコーナーへと移動するので、早足で付いて行く。
結構な頻度で来店しているのか、迷う事なく進んで行った先はミステリー小説のコーナー。
真剣な眼差しで本を探しているかと思ったら、顔を華やかせてある場所で立ち止まり、指を差し込んで単行本を取り出した。
その表紙が目に入り、思わず「えっ」と声を上げてしまった。
なぜなら、その本は俺のデビュー作だから…
「大きい書店なら、佐伯さんの小説はあるかと思って探してみたらビンゴでした」
「そうですか……あれ…?俺の職業って話してないですよね?」
治療の際、俺の職業に関する話は一切出てなかったのに、どうして俺が作家だと分かったのか…

