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恍惚なる治療[改訂版]
第5章 彼の素顔

「でも…」と口にして、再びさくらんぼを口に入れた。

「今になって彼の言っていた恋愛論が自分に当てはまったんですよ。どうしようも無いくらいその人に惹かれて、夢中になってる…」
「へえ、そんな相手が出来たんですか?」
「…はい」

その人が柳川先生にとっての運命の相手…なのか…?
余程その人が好きなのか、うっとりとした表情になっている。

「その人とは付き合ってるんですか?」
「いえ、その人は患者さんで、食事に誘おうかタイミングを計ってるんですよ」
「俺は恋愛事はよく分からないけど、その女性とは上手くいくんじゃないですかね?なら、その人とシメパフェ食べに来たら良かったんじゃないですか?俺みたいな男と来ても色気なんて…」

話している最中に先生は咀嚼を止めて、こちらを見たままジッとしてしまい、何か変な事を言ってしまったと俺は慌てて話題を変えた。

「ところで…治療とは言え、男のモノを触るのって気持ち悪かったでしょう?婦人科や泌尿器科の先生じゃないのに、色々やってもらって…『早く射精しろ』って思ったたんじゃないですか?」
「早く終わって欲しいとは思ったましたが、気持ち悪いとか嫌だと思った事は1度もありませんでした」




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