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小夜
第7章 おちる

次に目覚めたのは、温かな湯の中でした。

小夜のからだは湯を満たした浴槽の中に、浮かぶように横たわっていました。
そこは小夜を閉じ込める離れに備わった、小夜とお兄さまのための浴室でした。

お兄さまは浴槽の横で、小夜のからだを見つめていました。

「雨の中で倒れていたんだよ、小夜は」

小夜の乳房を湯の中で揺らしながら、お兄さまはいいました。

「すっかりからだが冷えきっていた。見つけるのが遅かったら、肺炎だったろうね」

小夜はそう言われても、心がぼうっとしていて、何も答えられませんでした。
ただぼんやりと、お兄さまの言葉が小夜を通りすぎるのを感じていただけでした。

「裸でどこに行く気だったんだい、小夜」
「逃げたかったのかな。この部屋から」
「もうこんなことがないように、外から鍵をつけなくてはね」

お兄さまは小夜を抱えると、浴槽から浮かび上げました。
そして湯が流れ続ける温かな床に、小夜のからだを降ろしました。

「もうすっかり温まったね。肌がピンク色になっているよ」

浴室の明るい照明の下に、小夜のからだがあけひろげられていました。
小夜の乳房に、小さく開いた足のあいだに、お兄さまの視線が注がれているのを感じました。

それでも小夜のぼうっとした心は、何ひとつ動かないままでいたのです。

「どうしたんだい、小夜? そんな生気のない目をして」
「まるで人形のようじゃないか」
「はじめてのセックスがそんなにショックだったのかい?」

お兄さまの手がボディシャンプーを直接泡立て、小夜の乳房をつかみました。

「初夜を迎えた花嫁のからだを洗ってあげるよ、小夜」
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