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美女の身影
第24章 危険な誘惑(1)

「わあすごい」
旅館に到着し高級感のあるロビーを見ると佑奈は感嘆の声をあげて目を輝かせた。
どうやら奮発した甲斐があったようだ。
チェックインを済ませると仲居に部屋まで案内される。
チェックインの際に1部屋しか取っていない事が周知の事実になったわけだが、幸いな事に佑奈はそれについて驚いたり戸惑ったりという反応を見せることはなかった。
一つの懸念事項が解消されて黒井は胸を撫で下ろした。
と同時にこれから佑奈と二人きりで宿泊することが現実となり、とたんに緊張が襲ってきた。
そして部屋へと向かう道すがら、もう一つの懸念が襲ってきた。
この旅館は各部屋ごとに専用の露天風呂が設置されていた。
そしてここからが問題なのだが、大浴場というものはなく、各部屋の風呂で入浴することが前提となっている宿泊施設なのだ。
佑奈にその相談をせずに黒井はこの宿を決めていた。
予約した時の自分のテンションがどのようなものだったのかを思いだす事は難しい。
少なからず下心があったことは否定できない。
だが冷静になって考えてみると交際もしていないのに、そのような宿を選ぶ事は非常識に思える。
カップルであれば、個別の露天風呂が付いている部屋など高級感の証のようで喜ばれるのは間違いないだろうが、自分たちの場合だとどうだろうか。
今はニコニコと笑顔を振り向いている佑奈が、部屋風呂しかない事を知った瞬間にどんな反応を示すのか黒井は心配でたまらなかった。
そうこうしているうちに先導する仲居が、一室の前で足を止めた。
「こちらです」と鍵を開けると、扉を開けて2人を室内へと案内した。

