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第9章 キスの嵐

「はぁ……このまま続けたら理性が効かなくなりますね」

最後にチュッとキスをした課長は、そのまま私を強く抱きしめて背中を撫でてくれる。
その腕に安心しきっている私は課長に身体を預けて恋人らしい時間を過ごした。

「そろそろ帰らないと終電がなくなりますね」

もうそんな時間なんだと寂しくなる。
定時に帰ってくると寝るまでの時間が長く感じるけど、課長と一緒に過ごす時間は一瞬で過ぎてしまう。
だけど来てくれただけでもありがたいと気持ちを切り替える。

「今日は会いに来てくれてありがとうございます。すごくうれしかったです」

「ええ、私も会えてよかった……それで汐里、明日なんですが……」

珍しく課長は何かを言いにくそうに言葉を濁した。

「明日が、どうかしたんですか？」

「それが……明日から週末にかけて出張になったんです」

「出張、ですか？」

課長が出張に行くことは特別な事じゃないけど、今回の出張は初めて聞くことだった。