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親愛なるご主人さま
第22章 朝のテレビニュース

「・・ショッキングだな・・・・で、どうなるんだ? 契約。ていうか、菜穂子の扱いとか?・・・」
「う~ん・・・依頼人の死亡って自体・・前代未聞で・・・・交わした契約書をよく読んでみますが、おそらく一方的な契約破棄と同様に、預けられている奴隷は自由解放じゃないかと・・」
「解放・・・自由?・・・・」
「あっ!とにかく急いでそちらへ行きます!」
細井の電話は動揺した声のまま一方的に切れた。
動揺と言えば玲子も同じだ。放心したような表情のままで圭吾に抱き起された。
「玲子。しっかりしろ・・」
そう言う圭吾もいつもの圭吾ではなく、親しい肉親を失ったときの何処にもいるような夫婦の様相だ。
「昨夜から悪い予感がずっと消えなかったのは、この予兆だったんだわ・・」
「菜穂子にどう言う?」
「少し時間を・・・まず私たちが冷静にならなきゃ・・・」
「うん。そうだな・・・細井さんが来てからでも遅くないな」
圭吾は屋敷に住み込んでいる召使いの老婆の君江を呼び、菜穂子の部屋に朝食を運ばせた。玲子は君江に鍵を渡した。菜穂子の腰に巻いたT字型の貞操具の着脱用の鍵だ。貞操具を外し、菜穂子が入浴を済ませたら、圭吾が呼ぶまで部屋で待機するように君江を使って指示を伝えた。
玲子や圭吾以外の者が貞操具の鍵を掛けたり外したりするのは菜穂子がこの屋敷に来てから初めてのことだった。
菜穂子はさぞ訝しげに思うことだろうと玲子は思った。
「食欲もあって、いつもと変わらぬご様子でした」
君江は空の食器が乗ったトレーを下げながら菜穂子の様子を玲子に報告した。
数時間後、東京を出た細井が到着した。
「早かったな」
「中央線の特急で来て、甲府からレンタカーです。まさかこんなとんぼ返りで今日また来るとは思わなかったですよ」
程なくして、菜穂子が呼ばれた。

