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ひと夏の恋……そして……
第13章 私の心はどこに
手に届く場所にいないことが、こんなにも寂しいなんて思わなった。
日中は仕事でばたばたしているし、それ以外は真和と一緒で感じることはなくても、夏樹の声を聞けば寂しさがこみあげてくる。

「月曜日に戻ってくるんだよね」

『ああ、お昼頃には戻れるとは思う。花火大会は明日だよな。今年は真和とは見れないんだよな』

「そうだね。真和も残念がってたよ」

そう言葉にしながら、佐伯さんの笑顔が脳裏に浮かんだ。
あれだけ夏樹と花火大会を見に行くのを楽しみにしていたのに、今では佐伯さんと行くことを楽しみにしている。
私も真和も夏樹を裏切っているようで心が痛い。

『だよな。物心いたころから俺が一緒に連れて行ってたからな。来年からは予定は入れないようにするよ。家族になるんだ。一番は真和と真緒だからな』

何も知らない夏樹は、来年の今頃を思い浮かべながら言葉にする。
それは私も願った未来。
動かなかった時がやっと動き出したのに、どうしてこうもタイミング悪く私の目の前に現れるのか……


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