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歳下の悪魔
第4章 目論見(もくろみ)

太田や守とは仕事の話でも、誠は違う。
もっと、誠のことを知りたいと思った。気が早いが、彼が良ければ付き合ってみてもいいと考えていた。
でも、私からは言い出せない。
二時間ほどでお開きになったが、楽しい時間を過ごせたと思う。
それは誠のお蔭。
「あの……。これ……」
誠からメモを差し出された。メモを見ると、和真からのメッセージを思い出してしまう。
「え……」
「俺の電話番号と、メール。良かったらで、いいから」
「ありがとう……」
メモを受け取り、男性陣と別れた。
私のメールなどを訊いてこないのが紳士的で、また誠の好感度が上がる。
同じ路線だと言うみなみと電車に乗り、私が先に降りた。
少し遠回りでも、食材を買い込むことにする。明日からは、自炊をしたい。
レジで財布を出した時、バッグの中に見知らぬ小型の機械を見つけた。
和真としか、思えない。入れたのはきっと、美容院の前で腕を掴まれた時だろう。そのタイミングしか、考えられない。
あの時は動揺していたから、入れられたことに気付かなかった。
仕事以外での機械が苦手な私は、切り方も分からないまま。
電車はICカードを使った。合コンの会計は全て男性陣が払った後で、財布は出していない。
四菱のエリートにはプライドもあるだろうと、女子で申し合わせて礼を言うだけにした。店の前で払うと言っても、断られるだけだろう。
誠には電車に乗る前に、楽しかったとメールをしておいた。返事はすぐに返ってきて、丁寧な長文。何となく、誠らしい。
コンビニの外でもう一度読み直してから、私が送った分も削除する。
もしも和真に見られたら、誠にも迷惑がかかるかもしれない。
美月が隼人と連作先を交換していたから、そこからまた誠に辿り着けるだろう。
もらったメモをゴミ箱に捨て、仕方なくそのまま家に帰ることにした。バッグの中の機械を勝手に弄れば、和真を怒らせるかもしれない。
買った物の袋を両手に提げ、足取り重く家へ向かう。
さっきまで楽しかった気分が、台無しだ。
鍵を開けて中へ入ると、聞こえてきたのは和真の「お帰り」という声だった。

