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歳下の悪魔
第4章 目論見(もくろみ)

「みなみちゃんはー、30歳。博美(ひろみ)ちゃんと、莉奈(りな)ちゃんは28―」
美月が説明してくれる。
話を聞くと理系は私と美月だけで、他はみんな文系。理系の女子なんて、変わっているとか、固いなどと思われがち。
7年間も合コンに出て行なかったから、少し緊張もしている。
軽く話してから、本来の目的の場所へ向かった。
私は、つい後ろを気にしてしまう。
また和真に着けられているかもしれない。それが何よりの恐怖。
合コンに出るのは、悪いことじゃない。美月のように彼氏がいるなら微妙でも、他のみんなは今フリー。
何も悪いことはしていない。そう自分に言い聞かせた。
着いた居酒屋は、少し高級な造り。
案内された個室に入ると、もう男性陣は揃っていた。
「ごめんねー。待たせちゃってー」
今日のリーダーは美月。任せておけば、ちゃんと仕切ってくれるだろう。
「俺達が、早く来すぎただけだから」
美月を一番奥にして、歳の順に座った。つまり私は二番目。
相手側も、一番奥がリーダーらしい。自己紹介で、奥から隼人(はやと)、誠(まこと)、広夢(ひろむ)、大樹(たいき)、瞬(しゅん)だと知った。全員同期の、35歳。
何となく、自分より年上で良かったと思う。
でも、合コンでの相手を値踏みするような視線は好きじゃない。仕方ないとは、分かっているが。
呑み物を頼んで、まずは乾杯。美月はチャレンジせず、無難な物を頼んでいた。
最初はみんな、正面同士で話をしている。でも私の正面の誠は、大人しいのかあまり話しかけてこない。私も自分から話しかけるのは苦手で、2人とも無言のまま。
「どーしたんだよ、誠。照れてんのか?」
隣の隼人が、誠の膝を叩く。
「こいつ、内気だから。彼女いない歴、15年だろう?」
「親に、早く孫の顔が見たいって言われて……」
誠が呟くように言った。
「いきなりそんな話は、重いんだよ。もっと気楽にな。ねっ、美月ちゃん」
美月と仲良く話していたから、隼人はもう打ち解けたのだろう。
「すみません……」
私が誠に謝られてしまい、手を振って否定した。

