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歳下の悪魔
第4章 目論見(もくろみ)

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やはり休日の美容院は混んでいる。昨夜何とか予約が取れたのは、15時から。
そのまま渋谷へ向かえば、ギリギリ間に合うだろう。Lという喫茶店も、ネットで調べておいた。
こんなに心地よい目覚めは、久し振り。
元彼のことは、完全に吹っ切れた。
私は元彼にとって、いらない存在。転勤先で、もう若い彼女を見つけているかもしれない。
昼過ぎまではゆっくりと過ごし、昨夜コンビニで買ってきた、ファッション誌を見た。
私は、最新や流行に疎い。服など、暑さ寒さをしのげればいいと思ってしまう。それでも今日はお洒落をして行かないと、他のメンバーにも恥じを掻かせかねない。
ファッション誌を参考にしながら、私の持っている服で、何とか今時っぽいコーディネートが出来上がった。
それを着て差し色にするバッグを持ち、部屋を出る。
少し早めに美容院に行けば、遅刻やキャンセルがあるかもしれない。
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
担当は、いつもと同じ人。何も注文をしなければ、前のカルテのような物を見て同じようにしてくれる。
セミロングにしておくと、仕事中は結ぶことが出来ていい。あまり短くても、髪の毛が食品に落ちることがある。
いつも通りに仕上げてもらい、急いで店を出た。
駅へ向かおうとした時、「おい」と腕を掴まれる。
和真が立っていた。
美容院の予約はネットだったから、聞かれるはずはない。場所も口にしていないから、ずっと付けられていたんだろう。
「おめかししてから、合コン? 必死だね」
「違うの。三ヶ月以上、来てなかったから……」
「頑張って、セックスする相手でも、探せば?」
大きな声で言ってから、和真は人混みに紛れて行った。
セックスという言葉が、近くには聞こえたのだろう。通行人の視線を振り切るように、待ち合わせの喫茶店へと向かった。
喫茶店に着いたのは、やはりギリギリだった。
「優華―。遅―い。もう、みんな揃ってるよー」
美月に呼ばれて、そのテーブル席へ急ぐ。
「穂村優華。三十二歳。でーす」
私の代わりに美月が言ったから、みんなに頭を下げた。
「よろしくお願いします……」

