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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第2章 〝岬〟

◇ ◇
均くんの働くコンビニの前。道路を隔てた電柱の影から、わたしは店内の様子を窺う。
今日も均くんが働いていることを確認し、ほっとする。だけど、昨日(今朝?)の今日では、顔を出しずらいのも確かであり。食料は数日分を買い込むから、これまでは連日店を訪れることはなかった。
暫くの間、彼が働く姿をじっと見守る。レジを打ったり商品を陳列したり、彼は忙しそうだ。暫く、そうして待っていると。
あっ……!
客足が途絶えたタイミングで、均くんが店の外に出てくる。どうやら店外にあるゴミ箱のゴミを、まとめているようだ。
い、今なら……。
店の中には、他のバイトの人(この前、ちょっと絡まれた)がいるから話すのは無理だろう。そう思い電柱の影から出ようとして、やっぱり躊躇した。
なんて、声をかけたら、いいの……?
メッセージをして返事が返ってこなかったら、余計にモヤモヤするだけだと思って、勢いここまで来てみたものの、考えてみればこっちの方がずっと勇気が必要なのだ。
そんな風に闇の中で迷っていた姿は、傍からみたら明らかに不審者だったのだろう。
「――ねえ」
背後からそう声をかけられ、心臓が飛び出すほど驚いた。
「……?」
おそるおそる振り返ると、そこに立っていたのは、とても綺麗な女(ひと)。その顔に見覚えがある気がしたのだけど、直後に思い当たっていた。
「あなた、さっきから、なにをしてるの?」
わたしに向かってそう訊ねてきたのは、つい二十四時間ほど前に、均くんの手を握っていたのと同じ女の人だった。

