この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第2章  〝岬〟 


 その日は夜中にも関わらず、どこも人通りが多かった。多くは同世代か少し上の若者たちで、その多くは酔っぱらっているか、酔っぱらったみたいにハイテンションだった。

 なにかのお祭りかと思っていたわたしは、人々の奇妙な仮装を見て、ようやく理解するのだった。

 その日に限っては、わたしの姿がよく街に紛れた。誰も避けたりしない。それどころか「それ、なんの仮装なの?」となれなれしく何度も声をかけられ、その度に足早にその場を離れた。

 一件目、二件目――五件目、六件目。足を運んだコンビニの店の内外には、どこも浮かれた後の人の姿があった。どこへ向かっても、食料を買うことができずにいた。

 次の店でダメなら、今日はあきらめよう。わたしはそう思いながら、記憶にある中の最後のコンビニを目指していた。その足を早めながら、私はふと自らに問いかける。

 今日は……?

 もういいのではないか、と思った。今日がだめなら、明日も明後日もきっと。日に日に辛くなるのは十分に身に染みている。だとしたら、いずれは……。

 そうして呆然自失のままに、わたしはその店を訪れていた。

「いらっしゃいませ」

「……!」

 その時の彼の笑顔は、絵にかいたような爽やかな笑顔とは違った。女性を惹きつけるような、魅力に満ちていたわけでもない。

「……」

 わたしは黙ったまま、彼の顔を眺めていた。すがるように、じっと。どこか控えめで、どこか繊細で、どこか臆病な笑顔だと――

 わたしには、そう感じられた。

/376ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ