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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章 タモツ

「だけどっ!」
いろんなことを考えると、吐きそうなくらい胸がむかむかとしてくる。走りながら、怒りを鎮めようと激しく頭を振る。
最後に会ってから、岬ちゃんは宣言通り、僕のいるコンビニには一度も来ることはなかった。その間、食事はどうしていただろう。言っていたように宅配やネットで食料を調達して、ちゃんと食べていただろうか。
以前のことを鑑みれば、想像しにくい。
あれから僕は自分のことばかりだった。あの時、聞かされた話もそうだけど、なにより彼女から突き放されたことのショックが大きすぎて、なにも考えられなくなっていた。岬ちゃんのことを、考えないようにしていたのだ。
そして美里さんとつき合うと、忘れようとさえしていた。
加賀見の件をきっかけに、また岬ちゃんのことを思った時に、心配な気持ちが一秒ごとにどんどんどんどん膨らんでいくようだ。この胸がパンクしそうなくらいに……。
とにかく今は、すぐにでも岬ちゃんの顔がみたい。向こうにしてみれば迷惑だろうけど、どんな憎まれ口をきかれても、ウザかったりキモかったり、そんな風に思われたとしても。
「そんなのは、かまわない!」
無事な岬ちゃんの姿を、一刻も早く確認したい。そして僕が一緒にいる内は、加賀見になんて手を出させたりしない。

