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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章  タモツ 


 美里さんの高校時代の元親友にして元恋人の岸井希さん。彼女と話したことは、とても印象的な出来事となった。

 美里さんと別れろと迫られたこと、病気を患っているとの告白。一見突飛とも思えるその行動の裏には、複雑な心境が垣間見えた気もしている。

 彼女の真剣さを肌に感じたからこそ、僕も真剣に美里さんと向き合わなければならない。もちろん現時点で、別れることを前提にするつもりはなかった。

 そして、二人で話す機会は思ったよりも早く訪れることに。それはバイトを終え、コンビニを出た午前五時半前。三月下旬とはいっても、まだまだ寒い時間帯のことだ。

「均! お疲れー」

 駅に向かう交差点の先で、赤信号の向こうから美里さんが白い息を吐き出しながら手を振った。青になると交差点を横断し、急いで駆け寄る。

「どうしたんですか?」

「うん、まあ。コーヒーでもどうかと思って」

 美里さんはサムズアップした右手で、自分の背後を差した。

 部屋着にダウンジャケットを羽織っただけの美里さんは「うう、さむっ!」と両腕を擦りながら、僕を先導して歩いた。

 僕がコンビニから帰る途中に通るこの交差点には、美里さんのマンションと、その向かいには大手チェーンのカフェもある。

 でもカフェが開店前ということもあり、僕たちは交差点を右折し五十メートルくらいのところにあるファミレスに向かっていた。

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