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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第6章 美里晶

「こっちが、山本均くん。で、そっちは岸井希ね。希は、高校時代の同級生で――」
「ふーん。同級生ねぇ。そっかそっかぁ」
私の言葉を遮ると、希はわざとらしく言葉に抑揚をつけた。こちらの表情が険しくなったのを一瞥し、更にこんな風に続けている。
「ま、それはいっか。で、この山本くんが今の晶の彼氏なんだよね?」
一瞬だけ均と視線を交わしてから、私はできる限りあっさりと言う。
「そうだよ。つき合いはじめたばかりだけど」
すると一瞬だけ妙な間が開いてから、希はにこやかに笑った。
「やっぱり、そうだよねー。うんうん、大人しいけど優しそうだし。結構お似合いかもねー」
いい加減その空々しさと、猫被った態度に辟易する。私は意を決して、希に言った。
「じゃあ、わかってくれない? 今は均との大事な時間なの。なんの用かはしらないけど。希、悪いけどまたにしてよ」
言った私自身、全身が緊張で強張る。だけど、このくらい強く出なければ、希の態度を改めさせることはできないと感じた。
「ああ、そうね。お邪魔だもんね」
昔より少し長いハンサムショートの前髪を掻き上げ、その時に向けた挑戦的な眼差しこそ、私のよくしる希だった。
「じゃあ、聞くけど。晶は私より、こんな普通そうな男を選ぶわけ? コンビニのバイト? アハハ! 男ってだけで、なんにもないじゃん」
「希――!」

